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もうすぐ民法改正が施行されますね①(時効制度の改正Part1)

2020.02.12

こんにちは,東京支店の弁護士の宮島祐太郎at新橋です。
新橋のルフィになるために極東の地で孤軍奮闘中です。

故郷熊本に帰りたい気持ちが強いのですが,代表北里がスパルタなのでなかなか帰らせてもらえません泣(「きっと頻繁にブログを書いてポイントを貯めれば帰らせてもらえる」と信じて,本記事を書いております)。

アイスブレイクはこんなところで,前回の代表北里に引き続き,今回は私がお役立ち情報を書かせていただきます。

 

平成29年に改正された民法が,ついに令和2年4月1日から施行されますので,その中でも今回の記事は,実務に与える影響が大きいと思われる①時効制度の改正(part1)について書きたいと思います。

 

    1 消滅時効とは

   そもそも,「消滅時効とはなんぞや?」という方も多いのではないかと思います。

   要は,法で定められた一定の期間,持っている権利を行使しないと,その権利が消滅してしまい,相手に請求できなくなる制度です。
   交渉や訴訟等において相手方に権利を主張したとしても,相手方から消滅時効を主張されてしまうと,残念ながらその権利の実現を図ることができなくなりますので,実務上,極めて大きな効力を持つものといえます。


 

    2 改正法のポイント(part1では,ⅰ~ⅲまでを解説します!)

   ⅰ 職業別短期消滅時効・商事消滅時効の廃止

   ⅱ 主観的起算点から5年の短期消滅時効の導入

   ⅲ 生命・身体の侵害による損害賠償請求権の特則(債務不履行及び不法行為のいずれも短期5年,長期20年に)

   ⅳ 時効の中断・停止から完成猶予・更新への再構成

   ⅴ 協議による時効の完成猶予の新設


    3 時効期間と起算点について(上記ポイントⅰ~ⅲとリンク!)

       ⑴ 現行法(改正前の法)の消滅時効の原則的な規定

      現行法では,「権利を行使することができる時」から10年と定められています。

       ⑵ 上記ポイントⅰ(職業別短期消滅時効・商事消滅時効の廃止)及び上記ポイントⅱ(主観的起算点から5年の短期消滅時効の導入)について

           ア 職業別短期消滅時効の廃止に至った経緯

      現行法では,一定の債権について時効期間を3年,2年又は1年とする職業別の短期消滅時効の特例を設けていました。
      これらの一定の債権の一例としては,工事請負代金債権は3年,旅館の宿泊費用請求権は1年といったもの等が挙げられます。
      これらの特例が設けられた趣旨は,特例の対象とされた債権は比較的金額が少額であることを踏まえ,特に時効期間を短期にしてその権利関係を早期に決着させることにより,将来の紛争を防止することにあると説明されていました。

                   しかし,これらの特例はとても細かいため,どの規定がどの債権について適用されるのかを確認するのがとても面倒であり,かつ,適用の誤りや見落としの危険も生じるといった問題が生じていました。

           イ 商事消滅時効の廃止に至った経緯

                   旧商法では,商行為によって生じた債権の消滅時効期間につき,早期決済を可能にする趣旨から,一般の消滅時効期間10年(上記⑴参照)の特則として,5年と定めていました。

                   しかし,商事消滅時効については,民法の10年の時効とどちらか適用されるのかの判断が容易でない事案が少なくなかったため,この点が争われるということも多かったのです。

       ⑶ ★★改正法の消滅時効の原則的な規定★★

                上記⑴及び⑵で記載した職業別短期消滅時効や商事消滅時効の制度で生じていた問題を解消するため,以下のような改正がなされることとなりました。

 

           ア 現行法の「権利を行使することができる時」から10年という客観的起算点からの消滅時効を維持したうえで,

           イ 「権利を行使することができることを知った時」から5年という主観的起算点からの消滅時効を新たに追加し,

           ウ そのいずれかが完成した場合には時効により債権が消滅する

 

                たくさんの様々な債権を管理する企業の方にとっては,このように画一的な消滅時効期間の改正がなされることによって,債権管理が簡便になるのではないかと思います。

        ⑷ 上記ポイントⅲ(生命・身体の侵害による損害賠償請求権の特則(債務不履行及び不法行為のいずれも短期5年,長期20年に))について

                例えば,自己の生命・身体に何らかの損害を被り,加害者に対して損害賠償請求を検討したいという方がいたとします。
                また,自己の生命・身体以外の損害(例えば,財産的損害等)を被り,加害者に対して損害賠償請求をしたいという方がいたとします。

                その場合,以下に書きますように,今回の時効制度の法改正を抑えておくことが肝要です。

           ア 加害者に対して損害賠償請求をする場合に,多くの弁護士が検討するであろう法律上の根拠

                   ①契約責任に基づく損害賠償請求(債務不履行に基づく損害賠償請求等),②不法行為責任に基づく損害賠償請求が考えられます。

           イ 現行法の②不法行為責任に基づく損害賠償請求の消滅時効

                   現行法は,不法行為に基づく損害賠償請求権について,「損害及び加害者を知った時」から3年間行使をしないときは,時効によって消滅する。
                「不法行為の時」から20年を経過したときも同様とすると規定されています。

          ウ ★★改正法において,上記①及び②に基づき損害賠償請求をする際の消滅時効の期間★★

                   上記①又は②の法律上の根拠に基づき,自己の生命身体の損害やそれ以外の損害について,加害者に対して損害賠償請求をする際の消滅時効期間は, 改正法においては下記の表のとおりとなります。

                   端的に改正点を申し上げますと,①契約責任に基づき,自己の生命・身体の損害賠償請求権の消滅時効の長期が10年⇒20年となりました
      また,②不法行為責任に基づき,自己の生命・身体の損害賠償請求権の消滅時効の短期が3年⇒5年となりました

                  その改正の背景には,生命身体は,保護する必要性の高い権利利益であることから,それ以外の権利利益(財産権等)よりも権利行使の機会を確保する必要性が高いこと(すなわち,消滅時効の期間を伸長する必要性が高いということですね)や,生命や身体について深刻な被害が生じた後,被害者の方は通常の生活を送ることが困難な状況に陥るなど,時効完成の阻止に向けた措置を速やかに取ることができない(それはそうですよね)といった問題がありました。

 

自己の生命・身体以外の損害

 

自己の生命・身体の損害

 

➀契約責任に基づく損害賠償請求

 

短期:5年
(「権利を行使することができることを知った時」から5年で消滅)

 

短期:5年
(「権利を行使することができることを知った時」から5年で消滅)

 

長期:10年
(「権利を行使することができる時」から5年で消滅)

 

長期:20年
(「権利を行使することができる時」から20年で消滅)

 

②不法行為に基づく損害賠償請求

 

短期:3年
(「損害及び加害者を知った時」から3年で消滅)

 

短期:5年
(「損害及び加害者を知った時」から5年で消滅)

 

長期:20年
(「不法行為のとき」から20年で消滅)

 

長期:20年
(「不法行為の時から」20年で消滅)

 

 

一例として,交通事故の人身損害の事案では,改正法の影響によって,現在3年とされている消滅時効の期間が5年に延長されることとなります。

「時効は大丈夫なのかな??」と気になられたそこのあなたも,お気軽に北里綜合法律事務所までお問合せ下さい(*^-^*)

次回は,時効制度の改正Part2(今回の残りの改正法のポイントⅳ 時効の中断・停止から完成猶予・更新への再構成ⅴ 協議による時効の完成猶予の新設)について,書きたいと思います。

こうご期待ください!

 

弁護士 宮島 祐太郎

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