改正道路交通法が2024年5月24日に交付されました。現在、2024年11月1日から2026年にかけて順次施行されています。今回は、道路交通法の改正内容について紹介します。
改正の背景
今回の改正では、自転車に関する罰則が強化されます。警察庁の統計によると、令和6年の自転車関連事故の件数は67,531件で、前年より4,808件減少しました。一方で、全交通事故のうち自転車の関わる事故の占める割合は近年徐々に増え、ここ数年は23%前後を推移しています。
また、自転車の運転時に携帯電話等を使用していたことによる交通事故が増加していること、酒気帯びで自転車に乗った際の事故が死亡や大けがを引き起こす重大な事故となるケースが多いことから、新しく罰則が定められることになりました。
自転車にも「青切符」16歳以上が対象に
2026年4月1日より、自転車の交通違反に対しても反則金を科される、いわゆる「青切符」が切られることになります。 16歳以上の運転者が対象です。
「青切符」対象は113種類
青切符の対象となるのは、113種類の違反です。
例えばこのような違反が対象となります。
・携帯電話を使用しながらの運転:12,000円
・音が聞こえないほど大音量でのイヤフォンの使用、傘さしなどの公安委員会遵守事項違反:5,000円
・信号無視、右側通行などの通行区分違反:6,000円
・信号無視:6,000円
・2人乗りなどの乗車積載制限違反:3000円
・横に2台以上並んで走るなどの並進禁止違反:3000円
自転車の青切符も自動車の青切符と同様、反則金を収めることで刑事処分を免れることができますが、これまでよりも違反を厳しく取り締まられることになります。
悪質な違反は「赤切符」
より悪質な違反は、青切符にさきがけて2022年10月から交付されている「赤切符」の対象となります。
例えば、携帯電話等を使用しながらの運転で交通に危険を生じさせた場合は赤切符の対象となり、刑事罰を受けることになります。
酒気帯び運転や妨害運転など、悪質な違反24種類が赤切符の対象です。自転車の酒気帯び運転及びそのほう助は、ともに3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、以前よりも重大な罰が科せられるようになります。
ペダル付き電動バイクに関する法整備
近年急速に普及したペダルのついた原動機付きの自転車(ペダル付き電動バイク)は、法整備が追い付いていない状態にありましたが、「原付バイクにあたる」と明記された改正道路交通法が、2024年11月1日から施行されています。
そのため、ペダル付き電動バイクが公道を走行するには以下の手続きが必要です。
・ナンバープレートの取得、ナンバー登録
・自賠責保険の加入
・原付免許または二輪免許の所持
・ヘッドライトやテールランプ、スピードメーターなど保安部品の装備
これらの条件を満たすことなく道路を走行した場合は、道路交通法違反となります。
企業が取るべき対応は
従業員が通勤や勤務中に自転車を利用することが多い企業は、以下の対応が推奨されます。
・社内規定への自転車利用ルールの明記
・自転車通勤者へのヘルメット着用の推奨
・ペダル付き電動バイクの適正な登録、保険加入の確認
・状況に応じて従業員向け自転車交通ルール研修の実施
弊事務所では、交通事故に関するご相談も数多く承っております。お気軽にお問い合わせください。
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参考URL:
警視庁HP 道路交通法の改正について(青切符についても含む)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/cycle_kaisei.html
警察庁交通局作成PDF 自転車を安全・安心に利用するためにー自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入ー【自転車ルールブック】
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/pdf/rulebook.pdf
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