今回は、不動産登記法の改正について紹介します。
不動産登記の法改正の背景
2024年の国土交通省の調査によると、探索しても所在が判明しない「所有者不明土地」の面積は約410万haと推計され、これは日本の土地面積全体の約23%に及びます。
また、所有者不明土地が発生する原因の63%は「土地相続の際に登記の名義変更が行われないこと」、29%が「住所変更登記の未了(転居時に住所変更登記がされないこと)」とされています。
こうした状況を受け、国は段階的に対策の法改正を進めています。2024年4月には、土地相続の際の名義変更を促すため、3年以内の相続登記を義務づける法改正を行いました。そして、相続した土地の扱いに困った場合は、一定条件を満たせば申請により国庫に帰属させる「相続土地国庫帰属制度」も設けられました(ただし、帰属に当たって負担金が必要となる場合があります)。
法改正とスマート変更登記の概要
今回(2026年4月施行)の法改正は、所有者不明土地が発生する原因の約3割を占める「住所変更登記未了」への対策として位置づけられます。
この改正により、不動産所有者は、住所や氏名(法人なら名称)を変更した場合、2年以内に住所等変更登記を申請することが義務となります。
そして、変更登記をしていない場合、5万円以下の過料が課せられるようになります。ただちに過料が生じるのではなく、その前に法務局から変更申請を行うよう催告が行われる運用ですが、変更登記の漏れがないよう気をつけておくと安心です。
今回の法改正では、変更登記がただ義務づけられるだけでなく、手続きが簡単になるような工夫も同時に行われています。
法改正の施行と同時に正式運用が始まる法務省の「スマート変更登記」では、オンラインでの住所等の変更登記が可能となります。法務省HPの「かんたん登記・供託申請」に申請手順が紹介されており、マイナンバーカード(電子証明書)と、住民票・戸籍関係書類等を準備すれば自宅のパソコン等から申請が可能です。
また、あらかじめ検索用情報の申出等をしておくことで、法務局が住所等の変更を把握した場合に、本人確認等を経て職権で変更登記を行う仕組みも整備されています。自分で申請する場合は不動産(土地・建物)1物件につき登録免許税1,000円が必要となりますが、検索用情報の申出(スマート変更登記)をして法務局職権で変更登記が行われる場合は登録免許税がかからないため、費用面でもメリットのある取り組みです。
所有不動産の一覧も取得可能に
今年2月2日から「所有不動産記録証明制度」も始まり、相続した土地を含め、自分が所有している不動産を一覧化した証明書を入手できるようになりました。複数不動産を所有している場合、申請漏れの防止にもつながります。
相続時には「10年ルール」にも注意
以前の法改正にはなりますが、遺産分割の際に注意が必要なルール変更もあります。それがいわゆる「10年ルール」と呼ばれるものです。
2023年4月以降に開始した相続で、相続開始から10年を経過した後に行う遺産分割については、原則として特別受益や寄与分を反映する「具体的相続分」を考慮しない取扱いになりました(「具体的相続分による遺産分割の時的限界」。※施行前に開始した相続にも適用されますが、経過措置があります)。
これも円滑な遺産分割を促し、所有者不明の土地を増やさない狙いがあると考えられます。
弊事務所では、相続手続きに伴う心配ごと・困りごとのご相談も随時承っております。お気軽にお問い合わせください。
参考情報:住所等変更登記の義務化について(法務書ホームページ)
・・・
■ニュースレター版はこちら

