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法律解説コラム:カスハラ対策が企業の義務に ー 2026年10月1日から義務化されるカスハラ対策を解説

2026.07.31

2026年10月1日から「労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)」が一部改正・施行され、すべての企業カスハラ対策と、求職者等に対するセクハラ対策が義務づけられます。今回は法改正の背景と対策について紹介します。

カスハラの定義

厚生労働省の整理によれば、カスタマーハラスメントとは、職場における顧客等の言動であり、社会通念上許容される範囲を超え、それにより労働者の就業環境が害されるものをいいます。

法改正の背景

近年、顧客や取引先による暴言、過剰な要求、長時間の拘束といった、いわゆるカスタマーハラスメントが問題視されています。もっとも、被害が過去に比べて深刻化しているというよりも、従来は「接客の一部」「現場でどうにかするもの」と従業員に負担が押しつけられがちだった問題が、就業環境を害するハラスメントであると認識され始めたことの表れと考えられます。

調査から見る企業側の迷惑行為への意識変化

厚生労働省の令和5年度調査では、過去3年間に

顧客等からの著しい迷惑行為に関する相談があった企業は27.9%で、令和2年度調査より8.4ポイント上昇しており、企業側での把握や相談の顕在化が進んでいることがうかがえます。

具体的な事例としては、「継続的、執拗な言動」「威圧的な言動」「精神的な攻撃」などが挙げられています。相談があった企業のうち、カスハラに該当すると判断した事例が1件以上あった企業は86.8%となっており、企業側でもたんなる「現場の困りごと」では済まされない問題として認識されていることが分かります。

こうした状況を受け、2025年6月11日に改正労働施策総合推進法が公布され、2026年10月1日から施行されます。

義務化されるカスハラ対策

カスハラ対策義務化の適用対象は、従業員を1人でも雇用しているすべての事業主です。企業規模による猶予措置は設けられておらず、中小企業も例外ではありません。具体的には、以下のような対策が求められます。

 ―企業方針の明確化と周知 
カスハラを容認しない旨を就業規則や服務規律に明記し、従業員に周知します。顧客には事業者のウェブサイトや店頭での掲示を行います。

―相談体制の整備 
相談窓口を設置し、従業員に周知します。既存のハラスメント相談窓口と統合する運用も認められます。実際に被害が生じた場合だけでなく、そのおそれがある場合や、該当するか判断が難しいケースでも軽視しない体制が求められます。

―事後の迅速かつ適切な対応 
被害があった場合の速やかな事実関係の確認、被害を受けた従業員への配慮(担当者の変更など)、再発防止策の実施が求められます。

―カスハラの抑止のために必要な措置 
体制の見直し、管理職への報告ルート、録音・録画の活用、退店要求や通話終了の判断基準、警察への通報基準等あらかじめ定めておくことなどが考えられます。

―そのほか併せて講ずべき措置 
ネームプレートへの本名不記載など、個人が特定されて攻撃対象とならないための配慮も含まれます。また、従業員がカスタマーハラスメントについて相談したことや、会社の対応に協力して事実を述べたことを理由に、解雇などの不利益な取扱いをすることは、法律で禁止されます。加えて、事業主・労働者双方には、カスハラ問題への理解を深め、防止のために注意と協力に努める責務も課されます。

求職者等へのセクハラ対策も義務化

求職者等に対するセクシュアルハラスメント(いわゆる就活等セクハラ)に対しても、対策が義務化されます。採用面接、会社説明会、インターンシップ等で、従業員が求職者に性的な言動を行うことのないよう、方針の明確化体制整備が必要になります。オンラインでの説明会やSNS上のやり取りも対象です。

すでに雇用している労働者に対するセクハラ対策は、男女雇用機会均等法によって以前から義務づけられています。今回の改正は、その保護の輪を、まだ雇用関係にない求職者にまで広げるものと理解するとよいでしょう。

弊事務所では、カスハラ・セクハラに関するご相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。

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参考情報:令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)